講義日程-2007年度冬学期

数学3


  1. 0 \geq x \geq 1で定義された2乗可積分の空間L^{2}(0,1)は無限次元であることを示せ。
    • 各要素が直交する無限列があればよい。\{\sin(n\pi t)\}_{n\in \mathbb{N}}が直交無限列。証明略。
  2. f(x)=2x,\ g(x)=x+1とする。
    1. f(x),g(x)L^{2}(0,1)の元であることを示せ。
      • それぞれが2乗可積分であることを示せばよい。証明略。
    2. fのノルム\|f\|_{L^{2}(0,1)}を求めよ。
      • 定義に従って\left(\int_{0}^{1}|f(x)|^{2}dx\right)^{1/2}を計算。値は2/\sqrt{3}
    3. fgの内積(f,g)_{L^{2}(0,1)}を計算せよ。
      • 定義に従って\int_{0}^{1}f^{*}(x)g(x)dxを計算。値は5/3
  3. \alpha,\beta\alpha < \betaなる実数とし、閉区間I=[\alpha,\beta]を考える。f\in C^{1}(I)に対して
    \|f\| = \max_{x\in I}|f(x)| + \max_{x\in I}|f'(x)|
    と定義する。ここでf'fの導関数を表す。
    1. \|\cdot\|C^{1}(I)のノルムであることを示せ。
      • ノルムの公理は、非負性、同次性、三角不等式と、外が0なら中も0の公理。順に試せばよい。
        三角不等式以外は明らかに明白で自明である。
        三角不等式については、\max_{x\in I}|\cdot |についての三角不等式から。
    2. A=\{u\in C^{1}|u(\alpha)=0\}C^{1}(I)の閉部分空間であることを示せ。
      • 部分空間になっていることは明らか。
        \{0\}\mathbb{R}の閉集合なので、u(x)\in C^{1}(I)\to u(\alpha)\in \mathbb{R}が連続写像であることを示せばよい。
        u_{n}(x)\to 0 (n\to \infty)となるC^{1}(I)の列について、
        |u_{n}|\geq \max_{x\in I}|u_{n}(x)| \geq u_{n}(\alpha)から
        u_{n}(\alpha) \to 0よってこの写像は連続。
        連続写像での閉集合の逆像は閉集合。よってAは閉集合。
    3. A
      |f|'=\max_{t\in I}|f'(x)|
      はノルムであり、|\cdot ||\cdot |'とは同値であることを示せ。
      • |\cdot |'がノルムになっていることの証明は略。
        この2つのノルムが同値であるとは、ある正数a,bをとって、
        任意のu\in C^{1}(I)についてa|u|'\leq |u| \leq b|u|'を成立させることができればよい。
        左側の不等式は自明。
        右側の不等式、\max_{x\in I}|u(x)| + \max_{x\in I}|u'(x)|\leq b\max_{x\in I}|u'(x)|を示す。
        平均値の定理から、任意のx\in Iに対してある\alpha \leq \gamma \leq xが存在し、
        u(x)=u(x)-u(\alpha)+u(\alpha)=u'(\gamma)(x-\alpha)+u(\alpha)=u'(\gamma)(x-\alpha)が成立。
        絶対値をとって、|u(x)|=\leq |u'(\gamma)|(x-\alpha)\leq \max_{x\in I}|u'(x)|(\beta-\alpha)
        よって、|u| = \max_{x\in I}|u(x)| \leq (\beta-\alpha)|u|'
        b=\beta-\alphaとすればよい。
  4. 有界な数列x=\{x_n\}全体を数列空間と呼び、l^{\infty}と書き表す。
    1. |x|_{l^{\infty}}=\sup_{n}|x_n|l^{\infty}のノルムであることを示せ。
      • 非負性、同次性、「外0⇒中0」は自明。
        三角不等式について、\sup_{n}|x_{n}+y_{n}|\leq \sup_{n}|x_{n}|+\sup_{n}|y_{n}|を示す。
        任意の正数\varepsilonについて、あるm\in \mathbb{N}が存在し、
        \sup_{n}|x_{n}+y_{n}|\leq |x_{m}+y_{m}|+\varepsilon \leq |x_{m}|+|y_{m}| +\varepsilon \leq \sup_{n}|x_{n}|+\sup_{n}|y_{n}|+\varepsilon
        \varepsilonは任意に小さくできるので、
        \sup_{n}|x_{n}+y_{n}|\leq \sup_{n}|x_{n}|+\sup_{n}|y_{n}|が成立。
    2. l^{\infty}がバナッハ空間であることを示せ。
      • l^{\infty}の任意のコーシー列\{\{x_{mn}\}_{n\in \mathbb{N}}\}_{m\in \mathbb{N}}について、
        nを固定した\{x_{mn}\}_{m\in \mathbb{N}}もコーシー列になることを示せば
        実数のyambi性に帰着できる。
        任意の正数\varepsilonに対して、あるN\in \mathbb{N}が存在し、
        任意のi,j\geq Nについて|\{\{x_{in}-x_{jn}\}_{n\in \mathbb{N}}|\leq \varepsilonが成立する。
        |\{\{x_{in}-x_{jn}\}_{n\in \mathbb{N}}| = \sup_{n}|x_{in}-x_{jn}| \geq |x_{in}-x_{jn}|なので
        nを任意に固定した個々の\{x_{mn}\}_{m\in \mathbb{N}}もコーシー列で、収束先x_{mn}\to x_{n}m \to \inftyが存在する。
  5. X=L^{2}(0,1)とする。
    1. 関数a(x)を、0\leq x \leq 1で連続な関数とし、線形作用素A
      (Af)(x) = a(x)f(x)
      D(A) = A^{-1}[X]とする。
      このAは有界作用素、すなわち連続作用素であることを示せ。
      • a(x)は有界閉区間で連続なので有界。最大値が存在する。
        |a(x)f(x)|^2 = |a(x)|^{2}|f(x)|^{2} \leq \max|a(x)|^{2}|f(x)|^{2}
        両辺積分して平方根をとれば
        |Af| \leq \max|a(x)||f|
    2. 線形作用素B
      (Bf)(x) = \frac{f(x)}{x}
      D(B)= B^{-1}[X]と定義する。
      このBは有界作用素ではないことを、関数列
      \varphi_{n}(x) = \begin{cases}0,\ \ (\mathrm{for} 0<x<1/n \vee 2/n<x<1) \\ \sqrt{n}\ \ (else)\end{cases}
      |\varphi_{n}|およびB\varphi_{n}を計算して示せ。
      • |\varphi_{n}|=1|B\varphi_{n}|=n/\sqrt{2}
  6. Xをヒルベルト空間とする。線形作用素Aおよびその逆作用素A^{-1}が有界作用素であれば、
    Aの共役作用素A^*について、(A^{*})^{-1}=(A^{-1})^*であることを示せ。
    • I = AA^{-1}
      両辺の共役をとる、任意のf,g\in Xについて、
      ((AA^{-1})^{*}f,g)=(f,AA^{-1}g)=(A^{*}f,A^{-1}g)=((A^{-1})^{*}A^{*}f,g)
      I = (AA^{-1})^* = (A^{-1})^{*}A^{*}
      (A^{*})^{-1} = (A^{-1})^*

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