院試過去問 2006年度 数学
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院試過去問 2006年度 数学
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院試勉強会
http://www.i.u-tokyo.ac.jp/edu/entra/examarchive.shtml
院試過去問 2006年度 数学
†
第1問
要素数有限の集合
と, 写像
について考える.
と定義する.
(1)非負整数
に対し,集合
を定義する.
なる
が存在することを示せ.
任意の
について
が成り立つことを示せばよい.これが成り立てば無限降下法により
なる
が存在することが示せる.
帰納法で証明する.
より
は成立.
での成立,すなわち
の成立を仮定する.このときある
が存在して
だったとする.すると,ある
が存在して
となるはずである.ところが,帰納法の仮定より
であるから
となり矛盾である. よって,
が成立する.
以上の議論より
が示されるので,題意は示された.
(2) (1)の条件を満たす
の一つを
とおく.
は,
のあらゆる不動点を含むことを示せ.
ある不動点
が
に含まれていなかったと仮定する. すると,
であるから
となり矛盾. よって,
は
のあらゆる不動点を含む.
(3)
の要素
に対し,集合
を定義する.
が
の不動点であることを示せ.
であるが,
なる正整数
が存在すればよい. そのような
が存在すれば
,
となり
となるからである.
背理法で示す.
そのような
が存在しなかったと仮定する. すると,
は不動点である
に含まれているので,ある
が存在して
でなければならない.ところが,その
もまた
なる
が存在して
とならなければならず,以下帰納的にまだ使っていない
の元が必要になるが,
が有限集合であることに矛盾である.
よって,条件を満たす
は存在し,題意は示された.
(4)
を示せ.
どの
も不動点であるので,
であることは明らか. 逆に
ならば,(3)と同様の議論により,ある
が存在して
であることが示せるので
となるから
.
よって,
.
第2問
と
に対し,
を考える.
(1)任意の実数
に対して
であるとき,(2.1)の解
が
の極限でゼロベクトルに収束しないことを示せ.
となるので,
となりゼロベクトルに収束しない.
(2)
なる連続微分可能な関数を考える.
に基づく変数変換
を使い,(2.1)を
に関する微分方程式に書き換えよ.
なので,
(3)
であるとき, (2.1)の解
がゼロベクトルに収束することを示せ.
ととれば,
これより,
なので,
.よって,
.
(4)
がどのような性質を持てば,(2.1)の解がゼロベクトルに収束するか.予想せよ.
という性質を持てばよいと予想する. というのはだめだと思うので,誰か変わりに予想してください.
てか,
だよね.
第3問
複素解析復習中.........
第4問
計算はとてもめんどくさい。
数直線上を点Pが動く。時刻
のときPは
上に存在し、単位時間毎に確率1/2で+1、確率1/2で-1移動する。
点Pが時刻tにxにいる確率を
と置く。
(1)時刻
について
を全て列挙せよ。
計算するだけ。
x
-2
0
2
p
1/4
1/2
1/4
(2)
を求めよ。
x,tのそれぞれについて偶数と奇数で場合分けする。
のとき、
のとき、
のとき、
(2n回中n+k回右に、n-k回左に動くとx=2k)
のとき、
のとき、
のとき、
(3)時刻tのxの平均と分散を求めよ。
この分布は二項分布(確率pで1,確率(1-p)で0をt回繰り返す)の和について、
とし、xに
を足したのちに2倍したものに他ならない。
二項分布の平均はpt,分散はp(1-p)tであるため、この分布の平均と分散は
となる。
(4)
(ただし、
,
,tとxの偶奇が等しいとき)を示せ。またその意味を述べよ。
t,xが偶数の場合。
(スターリングの公式)
ここで、
についてlogをとると、
なので、
これは、中心極限定理を表す。
標本平均(ここではx/t)と真の平均(ここでは0)の誤差はtが大きくなると平均0で分散が標本の母集団の分散(ここでは1)の1/tである正規分布に近づく。
これを中心極限定理という。
よって、xの分布については平均が0、分散が(各々の値がt倍されたので分散はt^2倍されて)tの正規分布に近づく。
この正規分布は、
であり、これは先ほどの結果と合致する。
(先ほど求めた
の近似は偶奇を分けていたため係数が2倍になっている)
第6問
有名な『ビュッホンの針』の応用問題。図がないと説明しづらい。どのパラメータを固定するかで難易度がかなり変わる。
(1)一辺
の正方形と間隔imgtex(\[2\]);の直線の交わる確率。
対称性より、正方形の中心と直線の距離xが
のときのみ考えればよい。
以下、直線の法線と正方形の一辺のなす角を
とおく。
を
に固定して考えると、正方形と直線が交わるのは、
のとき。
よって求める確率は、
(別解)
を固定して考える。
以下、直線の法線と正方形の一辺のなす角を
とおく。
のとき、正方形は常に直線と交わる。
のとき、正方形と直線が交わるのは
のとき(と、これと同値、あるいは対称な位置関係のとき(全部で8通り))。
よって求める確率は、
(2)長辺
短辺
の長方形と間隔imgtex(\[2\]);の直線の交わる確率。
対称性より、長方形の中心と直線の距離xが
のときのみ考えればよい。
以下、直線の法線と長方形の長辺のなす角を
とおく。
を
に固定して考えると、長方形と直線が交わるのは、
のとき。
よって求める確率は、
(別解)対称性より、長方形の中心と直線の距離xが
のときのみ考えればよい。
以下、直線の法線と長方形の対角線のなす角を
とおく。
のとき、長方形は常に直線と交わる。
のとき、長方形と直線が交わるのは
のとき(と、これと同値、あるいは対称な位置関係のとき(全部で4通り))。
のとき、長方形と直線が交わるのは
のとき(と、これと同値、あるいは対称な位置関係のとき(全部で4通り))。
よって求める確率は、
((1)と同様の計算につき省略)
(3)長辺
短辺
の長方形と間隔imgtex(\[2\]);の格子の交わる確率。
『長方形が格子の横方向の直線と交わる』事象を
、『長方形が格子の縦方向の直線と交わる』事象を
とおくと、求める確率は、
なので、
を求めればよい。
対称性より、長方形の中心と横向きの直線との距離x、縦向きの直線との距離yが
のときのみ考えればよい。
以下、縦向きの直線と長方形の長辺のなす角を
とおく。
を
に固定して考えると、長方形と両直線が交わるのは、
かつ
のとき。よって、
よって求める確率は、
(別解)煩雑すぎて無理。
ちなみに、計算すると、(1)は90.0%、(2)は87.0%、(3)は98.8%ぐらいになる。