[[講義日程-2007年度冬学期]] - 信号処理論第二 -- 出席点あり - δ関数再考 - δ関数を含む関数のフーリエ変換 - 相関関数とスペクトル - 線形システム - 特性関数 - 正規不規則信号 - 線形二乗平均推定 - ウィーナーフィルタ - カルマンフィルタ - 10/19 休講 ** δ関数再考 [#zbcdebf2] - 超関数 -- 適当に条件をつけて位相を入れた関数空間から複素数への線形で連続な汎関数。~~無限次元の線形空間Vの双対空間V'は、Vを制限して空間を縮めればV'は大きくなる。~~L^2を選べば双対空間はL^2に一致。Vにもっと小さな空間を選べばV'に超関数が現れる。 -- 任意回微分可能で、任意のpについて|x|→∞で|x|^|p|・|∂^p φ|→0となる関数を急減少関数、~~急減少関数から複素数への線形で連続な汎関数を緩増加超関数と呼ぶ。~~(急減少関数の位相は略、後で時間があったら。)~~急減少関数列{φ[n]}と緩増加超関数Nについて、~~(φ[n]→0)⇒(N[φ[n]]→0)ならばNは連続。 -- 超関数は形式的には積分で表現できる。g[φ] = ∫g(x)φ(x)dxただし積分記号の無い単独のgには意味が無い。~~通常の和とスカラー倍で超関数の和とスカラー倍を定義。~~∫g(x-α)φ(x)dx = ∫g(x)φ(x+α)dx で超関数のシフトを定義。~~∫g(ax)φ(x)dx=(1/|a|)∫g(x)φ(x/a)dxでスケーリングを定義。~~緩増加関数と緩増加超関数については積を定義でき、(φg)[ψ] = g[φψ]~~緩増加関数と急減少関数の積は急減少関数。~~超関数同士に畳み込みを定義できる。中身は略。~~ある領域で超関数同士が一致するとは、その領域に台を持つ任意のテスト関数について、適用結果が等しくなること。~~超関数の微分は、テスト関数に微分を押し付けることで定義する。g'[φ] = -g[φ']~~高階・多次元についても同様。 - δ関数 -- δ[φ] = φ(0) -- 急減少超関数で測度でもある。δ測度、ディラック測度とも呼ばれる。偶関数。 -- 特筆すべき性質は~~f(x)δ(x) = f(0)δ(x)~~xf(x) = 0 ⇒ f(x) = Cδ(x) - 超関数微分 -- 普通の関数を超関数を見ることで、微分の概念を拡張できる。超関数微分と呼ばれる。~~ステップ関数の超関数微分はδ関数。~~もともと微分可能な関数については超関数微分と普通の微分は一致する。~~超関数微分同士は常に可換。 - 超関数の極限 -- 超関数列g_nについて、任意のテスト関数について~~g_n[φ]→g[φ],(n→∞)となるときg_nはgに収束するという。~~(ヒルベルト空間での弱収束にあたる?) -- exp(-iωt)はω→∞で0に収束する。 //マグカップ味噌汁には割り箸が必要。 - サンプリング定理 -- 連続関数を有限個の値だけで表現する。 -- 連続関数の空間は可算無限次元。何らかの制約が必要。 //早くもシステムバスター襲来。 -- サンプル値の系列をδ関数の列とみなし、もとの関数との関係を考える。~ 周期δ関数列のフーリエ変換は周期δ間数列、~ 時間領域での掛け算は周波数領域では畳み込み、~ δ関数との畳み込みはシフト演算。~ 時間領域で周期δ関数列を掛けることは、周波数領域では、~ もとの関数に、コピーをシフトして重ねたものになる。~ 周波数領域で広い範囲に値を持っている関数は、~ サンプリングによって自身のコピーと重なってしまい、~ その部分ではコピーと区別できなくなってしまう。→Aliasing -- 特定帯域のみを含む正弦波信号は、帯域幅の2倍以上の周波数でサンプリングすれば完全に復元できる。 - サンプル系列から元の関数を復元するには -- 最も近い点での値を元の関数の値とみなすなら、~ 矩形パルスと畳み込む。周波数領域ではsinc関数を掛ける。 -- 直線で補完するなら、 三角波パルスと畳み込む。周波数領域ではsinc関数を二乗を掛ける。 - 教科書・参考書紹介 -- [[工学のための応用フーリエ積分>http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4274020096]] -- [[信号処理の基礎と応用>http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4817301066]]~ [[アナログとディジタルの信号解析>http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4874720927]] - 確率過程 -- 確率に基づいて変数が時間的に変化する過程。 - 確率過程のn次分布関数 -- &mimetex(F\left(\{x_i\}_{i=1}^{n};\{t_i\}_{i=1}^{n}\right) = P[\{X_{i}(t_i) \leq x_i \}_{i=1}^{n}]);~ 確率過程をn個考え、その&mimetex(i);番目の値が時刻&mimetex(t_i);に&mimetex(x_i);以下である確率。~ 確率分布関数は確率密度関数の情報を含む。~ 高次の確率分布関数は低次の確率分布関数の情報を含む。~ エルゴードな確率過程では、高次の分布関数は1次の分布関数の累乗になる。 - n次密度関数 - 集合平均 -- &mimetex(\eta(t) = E[x(t)] = \int_{-\infty}^{\infty}x f(x,t)dx); - 自己相関関数 -- &mimetex(R(t_1,t_2) = E[x(t_1)x(t_2)]); - 自己共分散 - 相互相関関数 - 直交 - 無相関 - 独立 -- 独立&mimetex(\Rightarrow);無相関 - 強定常過程 -- 確率密度が時間変化しない。 - 弱定常過程 -- 平均が時間変化しない。 -- 変化が時間差にのみ依存。 ---- ここに間違えがあったとしても私は責任を負えません.~ 責任はtzikにあります.~ 誤植は見つけた人が直すものです.~ -問題1 用語説明 -- &mimetex(\delta);関数~ 任意のテスト関数&mimetex(\phi);に対し&mimetex(\int_{-\infty}^{\infty}\phi(t)\delta(t)=\phi(0));が成立するような関数. -- エルゴード性~ 定常的な確率過程において,集合平均が時間平均に等しいこと. -- 確率密度関数の特性関数~ 確率密度関数を逆フーリエ変換したものを&mimetex(2\pi);倍したもの. -- 最小位相関数~ Laplace変換したものが右半平面に極も零点も有さないような関数. -- カルマンフィルタ~ 離散的な誤差のある観測から、時々刻々と時間変化する量を推定するためのフィルタ~ -問題2 --&mimetex(\int_0^{\infty}\sin wt dw);を求めよ.~ #mimetex(\begin{align}\int_0^{\infty}\sin wt dw&=\left[\frac{-\cos wt}{t}\right]_0^{\infty}\\ &=\frac{1}{t}\end{align}); --&mimetex(H(w)=\begin{cases}-j&(w>0)\\ 0& (w=0)\\ j &(w<0)\end{cases}); の逆Fourier変換を求めよ.~ #mimetex(\begin{align}\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty}H(w)e^{jwt}dw&=\frac{1}{2\pi}\left(\int_0^{\infty}-je^{jwt}dw+\int_{-\infty}^{0}je^{jwt}dw\right)\\&=\frac{1}{2\pi}\int_0^{\infty}2\sin wt dw\\&=\frac{1}{\pi t}\end{align}); --&mimetex(f*h);で定義される変換はHilbert変換と呼ぶか?また,実信号&mimetex(f(t));に対し, #mimetex(z(t)=f(t)+j\tilde{f}(t)); で定義される複素信号&mimetex(z(t));の性質を述べよ.~ &mimetex(z(t));は解析信号と呼ばれ, &mimetex(\mathcal{F}[z(t)]=2F(w)U(w));が成り立つ.~ -問題3 &mimetex(x(t));を実数値をとる定常過程とし,&mimetex(x(t));の自己相関関数を&mimetex(R_{xx}(\tau));と表すとき,以下の問いに答えよ. -- &mimetex(\forall \tau, |R_{xx}(\tau)|\le R_{xx}(0));?~ &mimetex(E[(x(t+\tau)\pm x(t))^2\ge 0);より &mimetex(E[(x(t+\tau))^2]\pm 2E[x(t+\tau)x(t)]+E[(x(t))^2]\ge 0);なので, &mimetex(|R_{xx}(\tau)|\le R_{xx}(0)); --&mimetex(x(t));のパワースペクトル&mimetex(S(w));を, 有限の観測時間&mimetex([-T,T]);から推定するための式は?~ #mimetex(\mathcal{F}[\frac{1}{2T}\int_{-T}^{T}x(t-\tau)x^*(t)dt]); --&mimetex(R_{xx}(\tau)=\begin{cases}1&(|\tau|\le 1)\\ 0 &(|\tau|>1)\end{cases});となるような定常過程って何?~ ない~ なぜならば,フーリエ変換するとsinc関数が出てくるが,これはパワースペクトルの非負性に矛盾.~ -問題4 信号&mimetex(s(t));に雑音&mimetex(n(t));が重畳した &mimetex(x(t)=s(t)+n(t));が観測信号として得られるものとする. ただし,&mimetex(s(t), n(t)\in \mathbb{R});で, 互いに無相関な定常過程であり,それぞれのパワースペクトルは, #mimetex(S_{ss}(w)=\frac{A^2}{w^2+w_0^2}, S_{nn}(w)=N^2); であるものとする. いま,観測信号に対する線形フィルタリング #mimetex(\hat{s}(t)=\int_{-\infty}^{\infty} x(t-\tau)h(\tau)d\tau); により&mimetex(s(t));の推定値&mimetex(\hat{s}(t));を得る時, 誤差の二乗平均&mimetex(J=E[(s(t)-\hat{s}(t))^2]);を最小とするような 線形フィルタ&mimetex(h(t));をWiener Filterと呼ぶ. --&mimetex(J);を最小とする&mimetex(\hat{s}(t));は #mimetex(E[(s(t)-\hat{s}(t))x(t-\tau)]=0); を満たす(直交原理)を用いて, #mimetex(R_{sx}(t)=\int_{-\infty}^{\infty}R_{xx}(t-\tau)h(\tau)d\tau); を導け. #mimetex(\begin{align}R_{sx}(t)&=E[s(\tau)x(\tau-t)]\\&=E[\hat{s}(\tau)x(\tau-t)]\\&=E[x(\tau-t)\int_{-\infty}^{\infty}x(\tau-\tau ')h(t)d\tau ']\\&=\int_{-\infty}^{\infty}E[x(\tau-t)x(\tau-\tau ')]h(\tau ')d\tau '\\&=\int_{-\infty}^{\infty} R_{xx}(t-\tau ')h(\tau ')d\tau '\\&=\int_{-\infty}^{\infty}R_{xx}(t-\tau)h(\tau)d\tau\end{align*}); --前問をFourier変換して&mimetex(h(t));の周波数応答を求めよ.~ #mimetex(R_{xx}=E[(s+n)^2]=R_{ss}+R_{nn}); #mimetex(R_{sx}=E[s(s+n)]=R_{ss}); #mimetex(S_{sx}(w)=S_{xx}(t)\cdot \mathcal{F}[h(t)]); より, #mimetex(\begin{align}\mathcal{F}[h(t)]&=\frac{S_{sx}(w)}{S_{xx}(w)}\\&=\frac{A^2}{A^2+N^2(w^2+w_0^2)}\end{align}); --因果性のある&mimetex(h(t));の周波数応答は?~ darekatoite~ takuraメモの因果性があると、 #mimetex(H(p)=\sum_{i=1}^m \frac{A_i}{p-p_i},h(t)=\sum_{i=1}^m A_ie^{p_it}U(t)); とかけて、p=jωとおいたものが周波数応答。(さらにすべての極と零点の実部が負であるときシステムは最小位相形であるという。任意の安定なシステムH(ω)は最小位相関数Hm(ω)と、ゲイン1の全域通過関数Ha(ω)の積でかける…で、そうかけたら応答が分かるのでは?)