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担当:谷口(やぐち)さん

yaguchi@mist.i.(東大ドメイン)
6号館356号室

- 演習はテスト形式。レポート用紙は持参してください。~
序盤60分は前回分の解説や講義の補足。~
中盤90分は問題演習。~
終盤30分はポイントの解説。~
途中に適宜休憩。
-- レポート用紙はA4。
-- なるべく大きい文字で、読める字で。消しゴム使って。
-- ノート,プリントは持ち込み可。参考書は不可。ノートパソコンはノート?
-- 友達との相談は可。むしろ推奨。ただし相談相手の名前を書いておくこと。
-- 飲食物持ち込み可。軽いものなら。
---%%カフェイン、カフェイン、カフェイン%%
- 成績は算法数理工学演習と一緒に。
-- 出席点(ほぼこれ)
-- テスト点(相対評価)
-- レポート点
--- 各回の重要な問題が解けなかったときは、次回までに。
--- 冬休みの宿題(任意)

- 位相幾何
-- 距離空間
-- 位相空間
-- ホモトピー,ホモロジー
- テンソル解析
-- 
--
--

- 位相幾何~
連続的変形で不変な性質についての幾何学
-- エルランゲン・プログラム~
クライン「幾何学とは、特定の変換で不変な性質を研究することだ。」
-- 位相同型写像~
連続な全単射で、逆写像も連続。~
必ずしも距離の入っていない空間で、「連続」を定義する。

- 距離空間
-- ある集合上の、非負,対称で,密着でなく、三角不等式を満たす2変数関数を距離と呼ぶ。~
距離の備わった集合を距離空間と呼ぶ。~
「関数」は&mimetex(\mathbb{R});への写像。
--- 同値な別の定義もある。(問)
--- 距離は有限であることは必要。(問)
--- 距離は一意に定まるとは限らない。同値でない別な定義もある。
-- 近傍~
距離空間 &mimetex(X);上の点&mimetex(x\in X);に対して、~
&mimetex(N(x,\varepsilon) = \{ y \in X | d(x,y)\leq \varepsilon \});~
を&mimetex(x);の&mimetex(\varepsilon);近傍と呼ぶ。
-- 距離空間における連続性~
距離空間&mimetex(X,Y);について、写像&mimetex(f:X\to Y);が&mimetex(x_0 \in X);で連続であるとは、~
&mimetex(\forall \varepsilon \gt 0, \exists \delta \gt 0. f(N(x,\delta)) \subset  N(f(x_0),\varepsilon));となること。
-- 距離がうまく定義できない空間について、連続写像や極限を扱いたいときには、~
なんとかして位相から連続写像や極限を使う。
--- 内積→ノルム→距離→位相
--- セミノルム系→位相

- 位相空間
-- 位相同型,連続
-- コンパクト性,連結性
-- 弧状連結
-- ハウスドルフ空間
-- 群論の復習

- 弧状連結
-- 位相空間における連結とは、空でない互いに疎な開集合では全空間を分割できないこと。~
互いに疎な開集合で全空間を分割したときに、必ず片方が空で片方が全空間になること。
-- 弧状連結とは、空間中の任意の2点について、それらを繋ぐ連続曲線が存在すること。~
弧状連結なら連結。連結でも弧状連結とは限らない。
--- &mimetex(x,y\in X);を繋ぐ連続曲線とは、&mimetex(f:[0,1]\to X);で&mimetex(f(0)=x,f(1)=y);を満たす連続写像。
// ここでシステムバスター襲来。
- ハウスドルフ空間
-- 空間上の任意の2点を、互いに疎な開集合で分離できる空間。~
一点集合が閉集合になることと同値。~
ハウスドルフ空間では、数列の収束先が高々一つに定まる。~
複数の収束先を持つ数列を排除できる。
// カフェイン許容量オーバー気味なのに眠気が収まらない…zzzzz

//風邪。咳が止まらない。
- 解説
-- 位相空間での連続性を示すときにεδや点列で示すのはダメ。
-- コンパクト性の証明のときには、

- レポート~
問4、(2)が5点以下の人。

- ホモトピー
- ホモロジー
-- ホモトピーは計算がとても大変。~
システマティックな計算法がない。~
群の構造も複雑。
-- ホモロジー群ならシステマティックな計算ができる。コンピュータでできるくらい。~
群の構造もホモトピー群に比べて単純。有限生成な自由加群。~
でもわかりにくい。
-- 直感的には、~
ループで図形を切断したときに、破片がどうなるかに着目。~
ループの中身が詰まっていて、連続的に一点に縮むようなループと、~
中身が「穴」で、中身がないループの場合がある。~
中身が詰まっているループは、閉領域の「境界」になっているが、~
中身のないループはそうではない。~
複体の図形に、直感的に違和感の無いように境界を定義しよう!~
単体の各辺を境界にすると、複体に拡張したときに、~
内部の辺が2重の境界になって現れてしまう。~
うまく定義するためには、~
--- &mimetex(\mathbb{Z}_2);上で考え、2重になった辺を排除~
→トーラスとクラインの壷を区別できない。図形の向き付け可能性を検出できない。
--- 複体を構成する単体に向きをつけるとうまくいく。

- 複体&mimetex(K);の&mimetex(m);次元鎖群&mimetex(C_{m}(K));~
&mimetex(K);に含まれる&mimetex(m);単体に&mimetex(\mathbb{Z});を係数につけて~
形式的に足したものからなる群。
- &mimetex(m);単体&mimetex(\Delta);の境界、&mimetex(\partial \Delta);は、~
&mimetex(\Delta = \langle p_{0}p_{1}\cdots p_{m} \rangle);~
&mimetex(\partial \Delta = \sum_{i=0}^{m}(-1)^{i}\langle p_{0}p_{1}\cdots p_{i-1}p_{i+1}\cdots p_{m} \rangle);で定義する。~
単体に含まれる辺に、符号をつけて足し合わせたもの。
- 単体鎖の境界は、含まれる各単体の境界を、その係数を重みとして足し合わせたもの。~
&mimetex(\partial);は境界作用素,境界準同型と呼ばれる。
- 複体&mimetex(K);に&mimetex(m);次元輪体群~
&mimetex(Z_{m}(K) = \mathrm{Ker}(\partial_m));、(&mimetex(\partial_m);は&mimetex(\partial);の定義域をm単体に限ったもの。)
- &mimetex(K);のm次元境界輪体群~
&mimetex(B_{m}(K) = \mathrm{Im}(\partial_{m+1}));
- &mimetex(B_{m}(K)\subset Z_{m}(K));が成立。~
&mimetex(H_{m}(K) = Z_{m}(K) / B_{m});を調べると、図形の「穴」の状態がわかる。~
これを&mimetex(K);の&mimetex(m);次元ホモロジー群と呼ぶ。

- cf)多様体上の微分形式&mimetex(\omega);と、外微分作用素も同じ関係を持つ。

- 例)~
&mimetex(K = \{|p_0|,|p_1|,|p_2|,|p_{0}p_{1}|,|p_{1}p_{2}|,|p_{2}p_{0}|\});について、~
&mimetex(C_{0}(K) = \mathbb{Z}[\langle p_0 \rangle,\langle p_1 \rangle,\langle p_2 \rangle]);~
&mimetex(C_{1}(K) = \mathbb{Z}[\langle p_{0}p_{1} \rangle,\langle p_{1}p_{2} \rangle,\langle p_{2}p_{0} \rangle]);~
&mimetex(Z_{0}(K) = \mathrm{Ker}(\partial_0) = C_{0}(K));~
&mimetex(Z_{1}(K) = \mathrm{Ker}(\partial_1) = \mathbb{Z}[\langle p_{0}p_{1} \rangle + \langle p_{1}p_{2} \rangle + \langle p_{2}p_{0} \rangle]);~
&mimetex(B_{0}(K) = \mathrm{Im}(\partial_1) = \{a\langle p_0 \rangle + b\langle p_1 \rangle + c \langle p_2 \rangle | a,b,c \in \mathbb{Z} , a+b+c=0\});~
&mimetex(B_{1}(K) = \mathrm{Im}(\partial_2) = \{0\});~
&mimetex(H_{0}(K) = Z_{0} / B_{0} \simeq \mathbb{Z});~
&mimetex(H_{1}(K) = Z_{1} / B_{1} = Z_{1}(K) \simeq \mathbb{Z});

今日からテンソル解析。

- テンソル(tensor)解析~
空間上の位置に依存する量、座標変換に対して不変な意味を持つ量についての理論。~
場の量の値は座標系に依存するが、量同士の関係は座標系に依らない。~
物理法則は直交座標系で書くことの多いが、問題によっては~
斜交座標や、もっと一般に曲線座標を取った方が簡単になる場合がある。~
そもそも直交座標系をとれない場合もある。
-- ベクトル解析で扱う量~
スカラー:&mimetex(s);添字の数は0個~
ベクトル:&mimetex(v=(v_{i}));添字の数は1個~
行列:&mimetex(T=(T_{ij}));添字の数は2個~
&mimetex(p);価の反変テンソル:&mimetex(T=(T_{i_{1}i_{2}\cdots i_{p}}));添字の数は&mimetex(p);個
-- 最急降下法~
十分滑らかな関数&mimetex(f:\mathbb{R}^{n}\to R);を最小化する。~
&mimetex(d_{\mu}=-\partial_{\mu}f);の方向に解を探す。~
しかし、&mimetex(x^{\mu}=td_{\mu});として解を探すのでは~
添字の上下が食い違う。&mimetex(\to);探索の方向が座標系に依存してしまう。~
Newton法なら座標系に依らない探索ができている。

- テンソル%%懐石%%解析の導入
-- 座標変換に注目。座標変換に対して特定の形で変換される量。
-- 多様体の接空間とその双対空間に注目。

- 今日の内容~
スカラー~
反変ベクトルと共変ベクトル~
Einsteinの縮約記法

- アフィン変換~
&mimetex(\tilde{x}=Ax+a);の形の変換をアフィン変換と呼ぶ。

- アフィン空間~
アフィン変換で移り変われる座標系の族を持った空間をアフィン空間と呼び、~
n次元のアフィン空間を&mimetex(E_n);と書く。

- Einsteinの縮約記法~
同じ上付き添字と下付き添字のペアが一つの項にでてきたら、その添字について和をとる。

- 反変ベクトル,共変ベクトル~
ある座標系から別の座標系へ座標変換したとき、~
それに伴って線形変換&mimetex(A_{\mu}^{\lambda});が定まり~
&mimetex(\tilde{v}_{mu} = A_{\mu}^{\lambda}v_{\lambda});と変換されるベクトルを共変ベクトルと呼び、~
&mimetex(A);の逆行列&mimetex((A^{-1})_{\mu}^{\lambda});、(&mimetex(A_{\mu}^{\lambda}A_{\lambda}^{\nu}=\delta_{\mu}^{\nu});)を使って、~
&mimetex(A);の逆行列&mimetex((A^{-1})_{\mu}^{\lambda});、(&mimetex(A_{\mu}^{\lambda}(A^{-1})_{\lambda}^{\nu}=\delta_{\mu}^{\nu});)を使って、~
&mimetex(\tilde{v}^{mu} = (A^{-1})_{\lambda}^{\mu}v^{\lambda});と変換されるベクトルを反変ベクトルと呼ぶ。
//&mimetex(\tilde{x}=\tilde{x}(x));~
//&mimetex(\tilde{v}_{\mu} = \frac{\partial x^{\lambda}}{\partial \tilde{x}^{\mu}}v_{\lambda});と変化するベクトルを反変ベクトルという。~
//&mimetex(\tilde{v}^{\mu} = \frac{\partial \tilde{x}^{\mu}}{\partial x^{\lambda}}v^{\lambda});と変化するベクトルを反変ベクトルという。~
反変ベクトルの添字は上付き、共変ベクトルの添字は下付きに書く。

- スカラー~
座標系に依らずに値が定まる量、座標変換に対して変換されない量をスカラーと呼ぶ。

- 冬休みの宿題(提出は任意、提出は次回2008/1/24)~
テンソル解析を勉強してまとめてみてください。~
提出した人は、
-- 休んだ回について平均点をつけます。
-- その人の6回の平均点に、内容に応じて底上げ。

- テンソルに対する演算
-- 和~
テンソルの和は成分ごとの和
-- 積~
テンソルの積は成分ごとの積。共変&mimetex(p);次、反変&mimetex(q);次のテンソルと~
共変&mimetex(p');次、反変&mimetex(q');次のテンソルの積は~
共変&mimetex(p+p');次、反変&mimetex(q+q');次のテンソル。~
&mimetex(T\otimes S);と書く。
-- 縮約~
共変添字と反変添字をペアにして和をとる。~
共変&mimetex(p);次、反変&mimetex(q);次のテンソルを特定の添字のペアについて縮約すると~
共変&mimetex(p-1);次、反変&mimetex(q-1);次のテンソルになる。~
テンソル積をとってから縮約したものを縮約積と呼ぶ。

- エディントンのイプシロン(完全反対称擬テンソル)~
&mimetex(\mathbb{R}^3);上の共変3次の擬テンソル。&mimetex(\varepsilon_{\mu \lambda \kappa});~
&mimetex(\varepsilon_{123} = 1);で、添字の添字の交換について反対称。~
&mimetex(\varepsilon_{123} = \varepsilon_{231} = \varepsilon_{312} = 1);~
&mimetex(\varepsilon_{321} = \varepsilon_{213} = \varepsilon_{132} = -1);~
他は0。~
反変版&mimetex(E^{\mu \lambda \kappa});についても同様。

- レポート~
問2、テンソルの座標変換後半3つ、6点以下の人は解きなおし。~
今月中、数理3研のポストへ。~
定義どおりに計算してください。

- 今日の内容
-- 計量
-- 対称化、交代化、外積空間
-- 擬テンソル、テンソル密度

- 計量~
正値対称な共変2階テンソル~
反変ベクトルの空間に内積を定める。~
計量は幾何学的な量を全て特徴づける。距離,角度,面積,体積。~
反変ベクトルと共変ベクトルに座標系に依らない同型を導く。~
内積があればベクトル空間の基底を直交化できる。~
直交化すれば反変ベクトルと共変ベクトルの対応付けでの成分が、値として一致する。

- 対称化,交代化~
添字を&mimetex(());でくくったときには、その添字について対称化する。~
添字が並んでいないときには、&mimetex(||);で挟まれた部分は除外。~
複数のテンソルに渡って対称化することもあり。~
&mimetex([]);でくくったときには、その添字については反対称化する。
同じく&mimetex(||);で挟まれた部分は除外。

- 外積空間~
&mimetex(p);階の反変交代テンソルを反変p-ベクトル、~
&mimetex(p);階の共変交代テンソルを共変p-ベクトル,p-形式と呼ぶ。~
p-ベクトルの作る線形空間を外積空間と呼ぶ。~
テンソルの偏微分はテンソルになるとは限らないが、~
その交代化であるテンソルの外微分はテンソルになる。

- 擬テンソル~
座標反転以外の座標変換ではテンソルとして振る舞い、~
座標反転では符号が入れ替わる量。エディントンのイプシロンとか。~

- テンソル密度~
座標変換に対して、変換行列の行列式の絶対値が~
スケーリング因子として現れるテンソルっぽい量。~
変換行列の行列式の絶対値が&mimetex(|\Delta|^{-t});と出てくるなら~
重みtのテンソル密度。

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