** 情報論理 [#r1ca9d63] - 担当:萩谷昌巳教授 - 2.0単位 - 10:15-11:45 化東236 - 評価:出席,中間試験,期末試験 http://nicosia.is.s.u-tokyo.ac.jp/~hagiya/#lecture **内容 [#v7ef80ad] -2項関係 R --反射的:&mimetex(I\subseteq R);,最小の反射的閉包:&mimetex(R\cup I); --推移的:&mimetex(R^2=R);,最小の推移的閉包:&mimetex(R^+); --対称的:&mimetex(R^{\top}=R);,最小の対称的閉包:&mimetex(R\cup R^{\top}); --反対称的:&mimetex(R\cap R^{\top}\subseteq I); -命題論理:&mimetex(A::= \top|\bot|P|\neg A|A\wedge A|A\vee A|A\supset A); -一階述語論理:&mimetex(A::=P(t,\dots,t)|\neg A|A\wedge A|A\vee A|A\supset A|\forall x A|\exists x A); --コンパクト性:論理式の集合に対して,その任意の有限部分集合が個別に充足可能ならば,集合全体を同時に充足可能 --完全性 ---弱い完全性:&imgtex(\[\Gamma\vDash A\Rightarrow \Gamma\cup\{\neg A\}\]);が充足不能 ---強い完全性:&imgtex{\[\Gamma\vDash A\Rightarrow \Gamma\vdash A\]}; --健全性:&imgtex{\[\Gamma\vdash A\Rightarrow \Gamma\vDash A\]}; -帰納的関数 --原始帰納的関数 ---zero():定数0 ---後者関数S ---射影関数pr ---合成:&mimetex(h(x_1,\dots ,x_n)=f(g_1(x_1,\dots ,x_n),\dots,g_m(x_1,\dots ,x_n))); ---原始帰納法:&mimetex(h(0,x_1,\dots, x_n)=f(x_1,\dots,x_n)\\h(S(x),x_1,\dots ,x_n)=g(x,h(x,x_1,\dots ,x_n),x_1,\dots,x_n)); --部分帰納的関数 ---原始帰納的関数+最小化演算子 --KleeneのT述語~ ---T(e, x, y) = 0 (if y はチューリング機械 e が入力 x で実行されたときの実行過程) ---T(e, x, y) = 1 (otherwise) --チューリングマシンの停止性判定 ---h(p(e,x))=0 (if &mimetex(\exists y. T(e,x,y)=0);) ---h(p(e,x))=1 (otherwise) --hは計算不能 ---hが計算可能であると仮定すると,h(p(x,x))=0ならば停止せず,h(p(x,x))=1ならば停止するようなチューリングマシンMを構成することができるが,MにMのインデックスを入力すると矛盾する. -帰納的集合 --機能的に加算 ---&mimetex(R=\{x\in\mathbb{N}|\exists y.f(x,y)=0\}); ---&mimetex(R=\{x\in\mathbb{N}|h(x)\ne \bot\}); --帰納的 ---Rと&mimetex(\mathbb{N}-R);の両方が帰納的に加算 ---&mimetex(R=\{x\in\mathbb{N}|h(x)=0}); -ゲーデルの不完全性定理 --ω無矛盾 ---&mimetex(\exists x A[x]);が証明でき,&mimetex(\forall y.\neg A[\bar{y}]);が証明できるような論理式A[y]が存在しない. --ω矛盾かあちゃん ---母親「あれはしちゃだめ、これもしちゃだめ…」 ~ 子供「ねぇ、何かしていい事はあるの?」 ~ 母親「ええ、あるわよ。でもあれもだめ、これもだめ…」 --ゲーデルの不完全性定理 ---算術の演繹体系がω無矛盾であると仮定すると,&mimetex(G);も&mimetex(\neg G);を証明することはできない. **過去問 [#c74b193c] -1.&mimetex(y\times y\le x);を満たす最大のyを返すような関数f(x)=g(x,x)を原始帰納法を用いてあらわせ. --解~ &mimetex(g(x,0)=0);~ &mimetex(g(x,S(y))=if(S(y)\times S(y)\le x)\ S(y)\ else\ g(x,y)\\ \hspace{66em}=(1-(S(y)\times S(y)-x))\times S(y)+(1-(1-(S(y)\times S(y)-x)))\times g(x,y)); -2.停止判定のチューリングマシンが存在するならば矛盾する -3.帰納的に加算な集合の和集合は帰納的に加算 --解.&mimetex(X=\{x|\exists y.f(x,y)=0\});~ &mimetex(Y=\{x|\exists y.g(x,y)=0\});~ とすると,&mimetex(X\cup Y=\{x|\exists y.f(x,y)*g(x,y)=0\});~ -4.ゲーデルの不完全性定理の議論において, 閉じた論理式G に対して, &mimetex(G \leftrightarrow \neg \exists y \mathrm{Proof} [\bar{\lceil G\rceil} , y, 0]); という同値命題が証明可能である. 以下、算術の演繹体系が(無矛盾) であると仮定する. さらに、G が証明可能であると仮定する. すると、G の証明が存在する. その証明の符号である自然数をy0 とおく. すると、&mimetex(\mathrm{proof} ((\lceil G\rceil), (y_0)) = 0); が成り立つ. 論理式Proof [x, y, z] は関数proof を(表現) しているので, &mimetex(Proof [\bar{(\lceil G\rceil)}, (y_0), 0]); が証明可能である. すると,&mimetex((\exists y.Proof [\bar{\lceil G\rceil}, y, 0])); が証明可能である. ところが,上の同値命題が証明可能なので, G が証明可能ならば&mimetex(\neg(\exists y.Proof [\bar{\lceil G\rceil}, y, 0]));も証明可能. したがって、&mimetex((\exists y.Proof [\bar{\lceil G\rceil}, y, 0]) \wedge \neg (\exists y.Proof [\bar{\lceil G\rceil}, y, 0])); が証明可能となり, 算術の演繹体系が(無矛盾) であるという仮定に反してしまう. -5. --一階の算術:自然数に関する一階の述語論理 --数学的帰納法:&mimetex(A[0]\wedge \forall x(A[x]\supset A[S(x)])\supset \forall x A[x]));の形の公理 ---部分帰納的関数:原始帰納的関数+最小解演算子 ---帰納的集合:帰納的に可算であり,その補集合も帰納的に可算である集合 --部分帰納的関数:原始帰納的関数+最小解演算子 --帰納的集合:帰納的に可算であり,その補集合も帰納的に可算である自然数の部分集合