幾何数理工学
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[[講義日程-2007年度冬学期]]
** 幾何数理工学 [#f9757ca9]
- 担当:増田 直紀 講師
- 1.5単位
-- 数理:限定選択A
- 8:30-10:00 工学部六号館 62講義室
- レポート1~2回、中間試験、期末試験
- 中間テストは折れ線まで…期末はそれ以降?
**内容 [#da2b2f53]
- 幾何学(Geometry)~
様々な図形を一定の視点の下で眺め、これらの図形の性質を研...
一定の視点とは、何らかの変換。図形の性質とは、その変換で...
-- 位相幾何学(Topology):位相同型変換によって不変な位相空...
-- テンソルの幾何学:座標変換(C^∞級同型)によって不変な...
- トポロジー
-- ユークリッド幾何学(Euclidean Geometry)~
合同変換(Congrument Transformation)によって不変な図形の幾...
合同変換:二点間の距離を変えない変換。(平行移動・回転・鏡...
長さ・角度・面積などが不変量。
-- 位相幾何学(Topological Geometry)~
位相同型写像で~
位相同型写像:連続な全単射で逆写像も同型なもの。~
長さ・角度・面積などは変化する。~
図形のつながり方が不変。図形に空いた穴や図形のねじれ、境...
伸縮させて同じ形にできる図形は同じものとみなす。~
コーヒーカップとドーナツは位相同型。
- [[距離空間>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B7%9D%E9%9B...
-- 距離関数:三角不等式を満たす、非負で対称な二変数関数で...
-- 距離空間X,Yについて、~
{a[n]}_{n∈N}~
lim[x→∞]a[n]=a~
⇔(∀ε>0.∃n∈N.∀m>n⇒d(a[m],a)<ε)で極限を定義し、~
f:X→Yについて、Xの任意の収束列{x[n]}について~
lim[n→∞]f(x[n])=f(lim[n→∞]x[n])ならばfは連続と定義する。~
∀ε>0.∃δ>0. ∀x,y∈X. d(x,y)<δ⇒d(f(x),f(y))<ε~
∀x∈X.∀ε>0.∃δ>0. f(N(x,δ))⊂N(f(x),ε)~
も同値。
-- 連続でない写像で図形を変換すると、片方の空間で収束する...
図形が破れている。
-- 単射でない写像を使うと、異なる二点を同じ点に移すので、...
-- 逆写像が連続でない全単射では、境界の開の部分と閉の部分...
- [[位相空間(Topological Space)>http://ja.wikipedia.org/w...
-- 位相:連続写像や極限を定義するための仕組み。
--- 開集合系:有限積と加算和について閉じた集合族。~
この集合族に属する集合を「開集合」とみなし、開集合の逆像...
--- 閉集合系:有限和と加算積について閉じた集合族。~
開集合系と同様に位相を定める。
--- 近傍系:
--- 閉包作用素:部分集合から部分集合への写像で、空を空に...
-- 位相同型写像:連続な全単射で逆写像も連続なもの。~
「切り取らず」(連続)~
貼り付けず(単射)、変形を許す写像(全射)。
- 距離空間の位相
-- 距離空間&mimetex(X);中の部分集合&mimetex(A);と、~
&mimetex(X);の点&mimetex(x);について、~
&mimetex(x);の任意の近傍が&mimetex(A);と交わり、~
かつ&mimetex(A);に含まれないならば、~
&mimetex(x);は&mimetex(A);の境界の点という。~
&mimetex(A);境界全体を&mimetex(\partial A);と書き、&mimet...
//-- 距離空間X中の部分集合Aの点xについて、~
//Aに含まれるx周りの開球が存在すれば、xはAの内点。~
//存在しなければxはAの外点。~
//Aの外点全体を∂Aと書き、∂AをAの境界と呼ぶ。~
//(多様体の境界とは別物。)
-- 開集合・閉集合の定義、その1
--- 境界と交わりの無い集合が開集合。
--- 境界を含む集合が閉集合。
--- 開集合の補集合は閉集合。~
閉集合の補集合は開集合。~
空集合と空間全体は開かつ閉な集合。~
開でも閉でも無い集合もある。
-- 開集合・閉集合の定義、その2~
距離空間Xの部分集合Aについて
--- Aの任意の点について、その点まわりにAに含まれる開球が...
--- Aの補集合が開集合ならAは閉集合。
--- この二種類の定義は同値だが、後者の方が位相空間に一般...
-- この開集合・閉集合の定義は距離の取り方に依存する。~
例えば離散距離を入れれば任意の部分集合は開かつ閉になる。
- 連続写像
-- 距離空間X,Yと&mimetex(f:X\to Y);について、次の3つは同値
--- fが連続(⇔∀x∈X.∀U∈N(f(x)).∃V∈N(x). s.t. f(V)⊂U)
--- Yの任意の開集合の逆像はXの開集合。~
連続写像は開写像とは限らない。開を開へ移すとは限らない。
--- Yの任意の閉集合の逆像はXの閉集合。
-- 開集合・閉集合を距離の取り方に依存しない形で定義してや...
距離の取り方に依存せずに写像の連続性を定義できる。
-- 「f:X→Yが位相同型写像」⇔「fは全単射で連続な開写像」
- 開集合の公理
-- 距離空間Xの開集合全体をOとすると、Oは以下の開集合の公...
--- φ∈O, X∈O
--- U,V∈O ⇒ U∩V∈O ~
(二つについて言えば再帰的に有限個について言った事になる)~
∀x∈U∩V⇒∃α>0.∃β>0.N(x,α)⊂U∧N(x,β)⊂V⇒N(x,min(α,β))⊂U∩V
--- &mimetex(\{O_i\}_{i\in I}. O_i \in O.); について、&mi...
(Iの濃度については言及していない。任意の濃度でよい)~
∀x∈∪[i∈I]O[i].∃i∈I.x∈O[i]⇒∃ε>0.N(x,ε)⊂O[i]⊂∪[i∈I]O[i]
- 閉集合の公理
-- 距離空間Xの閉集合全体をFとすると、Fは以下の閉集合の公...
--- φ∈F, X∈F
--- U,V∈F ⇒ U∪V∈F
--- {O[i]}_(i∈I). O[i]∈O. について、∩[i∈I]O[i] ∈ O
- 補)集合論から
-- 任意の集合Aについて、その部分集合全体は集合を成すと見...
-- 集合A,Bについて、AからBへの写像全体は集合を成し、B^Aと...
2={0,1}と見ると、冪集合2^AはAから2への写像全体と同型。
- 位相空間~
必ずしも距離の入っていない集合について、開集合の公理を満...
-- 開集合による位相
--- 集合Xについて、開集合の公理を満たすXの部分集合族Tを、...
毎回ペアで書くのは面倒なので、どの位相を入れているか明ら...
Tは一意には定まらない。位相の入れ方は複数考えられる。~
位相には包含関係による順序づけができる。~
開集合系による位相の定義以外にも閉集合系・近傍系・閉包作...
どれが一つで定義すればそこからほかのも定義できる。
--- 位相空間(X,T)について、開集合系に含まれる集合を開集合...
--- 最も弱い位相として密着位相{φ,X},最も強い位相として離...
- 連続写像
-- 位相空間 X,Y 間の写像 f:X→Y について、~
fが連続であるとは、Yの任意の開集合の逆像がXの開集合である...
-- fが開写像であるとは、任意のXの開集合の像がYの開集合で...
- 位相同型写像
-- 位相空間の間の連続で全単射な開写像を位相同型写像・同相...
-- 二つの位相空間の間に位相同型写像が存在するとき、その位...
- 近傍系
-- 位相空間X上の点xについて、xを含む開集合を開近傍。xの開...
-- 「xを内点として含む集合」や「開核がxを含む集合」として...
-- AがXの開集合であることと、A上の任意の点についてAに含ま...
-- AがXの閉集合であることと、A^C上の任意の点についてAと交...
-- 位相空間X,Yについて、f:X→YがX上の点xにおいて連続である...
fがX上の任意の点で連続ならば、fはX全体で連続。
- 距離空間と位相空間
-- 距離空間は距離に伴う通常の開集合系を使って位相を定めら...
特に(R^n,d_2)の位相をEuclid位相と呼ぶ。
- 11/1は休講
- 連結性
-- 開かつ閉な集合が全体と空集合以外になければ連結。
-- 空でない互いに疎な開集合で全空間を分割できるなら不連結。
- コンパクト性
-- ある集合族で集合を覆えるとき、その集合族を被覆という。
-- 被覆に含まれる集合が全部開集合なら開被覆という。
-- 開被覆の要素の数が有限なら有限開被覆という。
-- 要素数を指定しない任意の開被覆から、有限開被覆を選び出...
-- ユークリッド空間については、コンパクトであることと有界...
- 直和分割
-- 全空間を互いに疎な集合族に分割すること。
-- 同値関係で同値類を作ると、同値類全部を集めたものは直和...
同値類による分割を分類と呼び、同値類全体の集合を商集合と...
集合の要素から、その要素が属する同値類への写像を標準全射...
--- 標準全射は全射。同値関係の別表現ともとれる。
- 路,道,弧,パス
-- 位相空間&mimetex(X);と任意の2点&mimetex(p,q \in X);に...
連続写像&mimetex(f:[0,1]\to X);で&mimetex(f(0)=p \wedge f...
- 弧状連結
-- 空間上の任意の2点について、それらを結ぶ路が存在するこ...
-- 弧状連結ならば連結。
- 路の変形,ホモトープ,ホモトピー
-- 位相空間&mimetex(X);上の2点&mimetex(p,q);と~
それらを結ぶ2つの路&mimetex(f,g : [0,1]\to X);について、~
連続写像&mimetex(F:[0,1]\times [0,1] \to X);で、~
&mimetex(F(t,0) = f(t)\wedge F(t,1) = g(t));が存在すると...
fはgに変形できる、と言い、Fはfからgへのホモトピーと呼び、~
fとgは互いにホモトープと言う。~
ホモトープであることは同値関係。~
(空間上の2点を固定して)空間上の曲線をホモトープによる...
- ホモトープによる同値類の数は位相不変量(同相写像によっ...
この商集合は有限集合になるとは限らず、扱いが難しい。~
商集合に適当な演算を定義して群を作り、代数的な構造から元...
- 基本群
-- 位相空間X上に基点pを決めたとき、基本群&mimetex(\pi(X,p...
pを通る連続閉曲線をホモトープによる同値関係で割ったもの。
- レポート、11/22の講義終了時まで。
- 単体~
位相空間上のm単体は、空間上の&mimetex(m+1);点を相互に交わ...
単体の辺は、m単体を構成する点から、任意にm個点を選んで作...
点・線分・三角形・正四面体など、図形を構成するための基本...
- 複体~
有限個の単体の集合&mimetex(K);が複体であるとは、~
&mimetex(K);に含まれる任意の単体の任意の辺が&mimetex(K);...
&mimetex(K);に含まれる任意の2つの単体の共通部分は、空で...
異なる複数の複体が同一の図形を表すこともある。~
図形を単体に分割する方法は一つには決まらない。
- 単体写像~
複体Kから複体Lへの写像で、Kに含まれる単体を~
Lに含まれる単体に移す写像を単体写像と呼ぶ。~
特に全単射な単体写像を単体同型写像と呼び、~
単体同型写像が存在する2つの複体は、単体同型であるという。~
単体同型な複体が表す多面体は、互いに位相同型になる。
- 細分~
多面体として等しい2つの複体&mimetex(K,K');で、~
&mimetex(\forall \Delta' \in K');に対して&mimetex(\Delta'...
&mimetex(K');は&mimetex(K);の細分であるという。
- 組み合わせ同型~
2つの複体に、それぞれの細分に単体同型となるものがあれば~
その2つの単体は組み合わせ同型と呼ばれる。
- 記法~
-- 位相同型、&mimetex(\approx);、位相空間同士に連続で開写...
-- 同値、&mimetex(\sim);、反射律・対称律・推移律を満たす...
-- ホモトープ同値、&mimetex(\simeq);、位相空間上の曲線が...
-- 群の同型、&mimetex(\cong);、群同士に群演算と両立する全...
-- 単体同型、&mimetex(\cong);、複体同士に構造を保つ全単射...
-- 組み合わせ同型、&mimetex(\approx);、複体同士が、単体同...
-- 組み合わせ的にホモトープ、&mimetex(\sim);、折れ線同士...
基本群を定義から直接求めて、同型かどうかを調べるのは難し...
位相空間に複体構造を入れて、折れ線群を定義できると、計算...
- 複体上の折れ線~
複体上の1単体を連ねたものを、複体上の折れ線と呼ぶ。
- 折れ線の積~
複体&mimetex(K);上の2つの折れ線&mimetex(\Gamma = l\{p_{0...
&mimetex(\Gamma' = l\{p'_{0}p'_{1}\cdots p'_{r'}\});で、~
&mimetex(\Gamma);の終点&mimetex(p_r);と&mimetex(\Gamma');...
2つの折れ線に積が定義でき、&mimetex(\Gamma \Gamma' = l\{...
と、折れ線を繋いだものを積とする。
- 折れ線の初等変形~
以下の操作とその逆を折れ線の初等変形という。
-- 同じ点が2つ続いたら、1つを除くこと。~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+1}p_{i+2}...
&mimetex(p_i = p_{i+1});~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+2} \cdots...
-- 同じ点に挟まれた点を除くこと、~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+1}p_{i+2}...
&mimetex(p_{i} = p_{i+2});~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+2} \cdots...
-- 連続する3つの点からなる単体がもとの複体に含まれるとき...
中間の点を除くこと。~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+1}p_{i+2}...
&mimetex(\{p_{i}p_{i+1}p_{i+2} \in K);~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+2} \cdots...
- 組み合わせ的にホモトープ、折れ線同値~
始点と終点が一致する二つの折れ線が、初等変形で移り変われ...
その2つの折れ線は組み合わせ的にホモトープという。
- 折れ線群~
複体上に基点を1つ選び、その点を通る閉折れ線を~
組み合わせホモトピーの同値関係で割ったものは~
折れ線の連結について群になり、それを複体上の折れ線群と呼...
複体の折れ線群と、複体が構成する多面体の基本群は群として...
- ホモロジー~
閉曲線による切断に注目する。~
例えばトーラスをループで切断するとき、~
トーラスを二つの部分に分割するループと~
分割しないループがある。~
球面上でなら、どのループで切断しても二つの部分に分かれる。
-- 単体の向き~
多角形として同じ単体が同じ向きであるとは、単体をなす点の...
逆向きであるとは、奇置換で移り変われること。
- 複体の鎖群と境界凖同型~
[[幾何数理工学演習]]のページを参照。
- 凖同型定理~
2つの群の間の凖同型写像&mimetex(f:G \to G');について、~
&mimetex(G / \mathrm{Ker}(f) \simeq \mathrm{Im}(f));
- ホモロジー群
-- 複体&mimetex(K);の&mimetex(m);次元サイクル:&mimetex(Z...
-- 複体&mimetex(K);の&mimetex(m);次元境界サイクル:&mimet...
-- &mimetex(Z);は切断を表す&mimetex(C);の部分群。~
&mimetex(B);は図形を分ける切断を表す&mimetex(C);の部分群。~
&mimetex(Z-B);が図形を分けない切断を表している。~
境界サイクル分の違いを無視して、~
ホモロジー群&mimetex(H_{m}(K) = Z_{m}(K)/B_{m}(K));を作れ...
- ホモローグ~
2つの&mimetex(m);次元サイクル&mimetex(c,c' \in Z_{m}(K))...
&mimetex(c-c' \in B_{m}(K));であること。~
ホモローグは同値関係。ホモローグによる同値類はホモロジー...
- 来週は中間テスト。持ち込み可。折れ線まで。印刷物は50...
- 複体&mimetex(K,K');について、&mimetex(|K|,|K'|);が位相...
そのホモロジー群も同型。
- &mimetex(q);次元ホモロジー群は有限生成な可換群なので、~
&mimetex(\mathbb{Z});と&mimetex(\mathbb{Z}_{m_{i}});の有...
&mimetex(m_{i});は&mimetex(m_{i+1});の約数になっている。~
ここに現れる無限巡回群の個数を、&mimetex(K);の&mimetex(q)...
有限巡回群の列&mimetex(m_{1},m_{2},\cdots,m_{s});を&mimet...
&mimetex(\chi(K)=\sum_{q=0}^{n}(-1)^{q}R_{q}(K));をオイラ...
- オイラー・ポアンカレの定理~
&mimetex(n);次元複体&mimetex(K);に含まれる&mimetex(q);次...
&mimetex(\chi(K)=\sum_{q=0}^{n}(-1)^{q}\beta_{q});が成立。
- テンソル~
スカラー・ベクトル・行列と直交座標・直交変換では、応用上...
テンソルはそれらの一般化。~
量同士の関係を座標変換に対して不変な形で書くための道具。
- 線型空間とその双対空間~
線型空間上の連続な線型関数&mimetex(\phi:V\to \mathbb{R});...
&mimetex(V);の線型汎関数という。~
和とスカラー倍を関数値の和とスカラー倍で定義すれば、~
線型汎関数全体は線型空間になっている。~
&mimetex(V);上の線型汎関数のつくる線型空間を&mimetex(V);...
&mimetex(V^{*});の双対空間&mimetex(V^{**});は(有限次元な...
もとのベクトル空間の基底は下付き添字を使って&mimetex(\{e_...
その双対基底&mimetex(\{e^{i}\});、&mimetex(e^{i}(e_{j})=\...
- 反変ベクトルと共変ベクトル~
ベクトル空間&mimetex(V);での2つの基底&mimetex(\{e_{i}\})...
ベクトルの成分の変換は、&mimetex(v=v^{i}e_{i}=\tilde{v}^{...
&mimetex(\tilde{e}_{i} = A_{i}^{j}e_{j});~
&mimetex(\tilde{v}^{i} = (A^{-1})^{i}_{j}v^{j});となる。~
この変換のされ方をする2つの量は、互いに反変的であるとい...
基底に対して反変的なベクトルを反変ベクトル(contravariant ...
対して、双対空間のベクトルの基底と成分は、~
&mimetex(\tilde{e}_{i} = A_{i}^{j}e_{j});~
&mimetex(\tilde{e}^{i} = (A^{-1})^{i}_{j}e^{j}\);~
&mimetex(\tilde{\omega}_{i} = A_{i}^{j}\omega_{j});~
この変換のされ方をする2つの量は、互いに共変的であるとい...
もとの線形空間の基底に対して共変的なベクトルを共変ベクト...
- 例
-- 座標の微分は反変ベクトル。アフィン空間なら座標の差は反...
-- スカラー関数のgradは共変ベクトル。アフィン空間なら共変...
-- 共変p階,反変q階のテンソルの外微分は共変(p+1)階,反変q階...
- 高階の共変テンソル~
&mimetex(V);上の多重線形な連続汎関数&mimetex(V^{p}\to \ma...
&mimetex(\bigotimes^{p}V^*);と書く。
- 共変テンソルの演算~
&mimetex(A\in\bigotimes^{p}V^*);の元と&mimetex(B\in\bigot...
&mimetex((A\otimes B)(v_1,\cdots,v_p,v_{p+1},\cdots,v_{p+...
テンソル積は結合的で線形。~
&mimetex(p);階の共変テンソルは反変基底に対する作用で特徴...
&mimetex(p);個の添字を持つ成分数&mimetex(n^{p});個の量の...
&mimetex(p);階共変テンソルの基底は双対基底の&mimetex(p);...
- 共変テンソルの座標変換~
基底空間の座標変換に対して共変テンソルは、各添字について...
- 高階の反変テンソル
&mimetex(V^*);上の多重線形な連続汎関数&mimetex((V^{*})^q ...
&mimetex(\bigotimes^{q}V);と書く。~
反変テンソルについても共変テンソルと同じようにいろいろ定...
- 混合テンソル~
&mimetex(V^{p}\times (V^*)^{q} \to \mathbb{R});
- 対称テンソル・交代(反対称)テンソル~
対称性・交代性は座標変換に依らない性質。
-- 高階テンソルの共変添字の組、反変添字の組について、~
添字の任意の置換についてテンソル全体が不変であるとき、~
そのテンソルはその添字の組について対称であるという。~
テンソルを多重線形汎関数と見るなら、~
特定の引数の組の置換についての不変性を指す。
-- 同様に、添字の組の任意の奇置換について符号が入れ替わる...
そのテンソルはその添字の組について交代であるという。
- 対称化作用素~
&mimetex(\mathrm{Sym}(T) = \frac{1}{p!}\sum_{\sigma \in S...
&mimetex(\sigma \mathrm{Sym}(T) = \mathrm{Sym}(T));
- 交代化作用素~
&mimetex(\mathrm{Alt}(T) = \frac{1}{p!}\sum_{\sigma \in S...
&mimetex(\sigma \mathrm{Alt}(T) = \mathrm{sgn}(\sigma)\ma...
- 計量~
内積を与える2階の対称共変テンソル。~
&mimetex(g:V\times V \to R);~
正値対称双線形な連続関数。~
反変ベクトル&mimetex(u,v);について、その内積を&mimetex(<u...
基底を定めれば、&mimetex(g_{\mu\nu}u^{\mu}v^{\nu});
-- ベクトルの長さ~
&mimetex(\|v\|=\sqrt{<v,v>});
-- ベクトルのなす角度~
&mimetex(u \neq 0,\ v\neq 0);のなす角度は&mimetex(cos\the...
&mimetex(<u,v>=0);なら直交するという。
-- 計量の入った線型空間を計量線型空間、Euclid空間と呼ぶ。~
計量の無い空間では、長さや角度は定義できない。~
平行・向きは定義できる。
- 直交座標系~
正値対称な2階の共変テンソルは対角化可能。~
底空間に適切な座標変換をすると、計量テンソルは(局所的に...
- 内積と双対空間~
ベクトル空間に内積が与えられると、&mimetex(V);と&mimetex(...
(座標系に依らない)標準的な変換が存在する。~
&mimetex(v_{\mu} = g_{\mu\nu}v^{\nu});~
&mimetex(v^{\mu} = g^{\mu\nu}v_{\nu});~
- 交代テンソル
-- p階の交代共変テンソルの全体を&mimetex(\wedge^p V^*);と...
&mimetex(\wedge^p V^*);は&mimetex(\otimes^p V^*);の部分空...
交代テンソルはテンソル積については閉じていない。外積につ...
p階の交代共変テンソルはp形式と呼ばれる。
- 交代共変テンソルの外積~
p形式Sとq形式Tに対して、&mimetex(S\wedge T = \frac{(p+q)!...
p形式とq形式の外積は(p+q)形式。~
ベクトルの外積とは異なる。3次元空間でのベクトルの外積は、...
p形式&mimetex(w=\wedge^{p}_{k=1}w_{k});とp個の反変ベクト...
&mimetex(w(v_{1},v_{2},\cdots,v_{p}) = \det (w_{i}(v_{j})...
- 交代共変テンソルの基底・次元
-- &mimetex(V^*);の基底&mimetex(\{e^{k}\});を使って、~
&mimetex(\wedge^{p}V^*);の基底は&mimetex(e^{k_{1}}\wedge ...
&mimetex(\wedge^{p}V^*);の次元は&mimetex(_{n}C_{p});
- 線形空間の向き~
線形空間の順序づけられた基底2組について、~
基底の取り替え行列の行列式が正ならば、その基底は同じ向き...
同じ向きであることは、同値関係になっていて、同値類は2つあ...
片方の同値類に属する基底の組を正の向き、もう片方を負の向...
- テンソル密度と擬テンソル~
座標変換に対して、変換行列の行列式がかかったり、~
向きの変わる座標変換に対して符号が変わるテンソルのような...
-- Eddingtonの&mimetex(\varepsilon);(Levi-Civitaの記号)~
&mimetex(\varepsilon_{123}=1);となる交代な&mimetex(n^3);...
テンソルの交代性は座標系に依らない性質で、3次元の空間では...
ある座標系で&mimetex(\varepsilon_{123}=1);となる交代共変...
別な座標系で&mimetex(\tilde{\varepsilon}_{123}=1);となる...
比例係数を計算してみると、&mimetex(\det \left( \frac{\par...
この&mimetex(\varepsilon);と&mimetex(\tilde{\varepsilon})...
テンソルの変換規則には従わず、変換行列の行列式がかかる。~
このような量の組を擬テンソル(軸性テンソル)という。~
これに対して普通のテンソルを極性テンソルともいう。
-- 一般に座標変換に対して、通常のテンソルの変換則の他に~
変換行列の行列式の絶対値の&mimetex(-w);乗がかかる形で変換...
重み&mimetex(w);のテンソル密度。~
変換行列の行列式の符号がかかる形で変換される量を擬テンソ...
両方かかかるものは擬テンソル密度。
- 計量のある空間での共変と反変の対応関係~
テンソルの階数と擬か否か、重みが同じで、添字の上下だけが...
計量による添字の上げ下げで移りあえ、同一視することができ...
- 試験は2/14、3時間、持ち込みなし。~
ホモロジーとテンソルのあたり。~
ホモロジーの計算は出すらしい。
終了行:
[[講義日程-2007年度冬学期]]
** 幾何数理工学 [#f9757ca9]
- 担当:増田 直紀 講師
- 1.5単位
-- 数理:限定選択A
- 8:30-10:00 工学部六号館 62講義室
- レポート1~2回、中間試験、期末試験
- 中間テストは折れ線まで…期末はそれ以降?
**内容 [#da2b2f53]
- 幾何学(Geometry)~
様々な図形を一定の視点の下で眺め、これらの図形の性質を研...
一定の視点とは、何らかの変換。図形の性質とは、その変換で...
-- 位相幾何学(Topology):位相同型変換によって不変な位相空...
-- テンソルの幾何学:座標変換(C^∞級同型)によって不変な...
- トポロジー
-- ユークリッド幾何学(Euclidean Geometry)~
合同変換(Congrument Transformation)によって不変な図形の幾...
合同変換:二点間の距離を変えない変換。(平行移動・回転・鏡...
長さ・角度・面積などが不変量。
-- 位相幾何学(Topological Geometry)~
位相同型写像で~
位相同型写像:連続な全単射で逆写像も同型なもの。~
長さ・角度・面積などは変化する。~
図形のつながり方が不変。図形に空いた穴や図形のねじれ、境...
伸縮させて同じ形にできる図形は同じものとみなす。~
コーヒーカップとドーナツは位相同型。
- [[距離空間>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B7%9D%E9%9B...
-- 距離関数:三角不等式を満たす、非負で対称な二変数関数で...
-- 距離空間X,Yについて、~
{a[n]}_{n∈N}~
lim[x→∞]a[n]=a~
⇔(∀ε>0.∃n∈N.∀m>n⇒d(a[m],a)<ε)で極限を定義し、~
f:X→Yについて、Xの任意の収束列{x[n]}について~
lim[n→∞]f(x[n])=f(lim[n→∞]x[n])ならばfは連続と定義する。~
∀ε>0.∃δ>0. ∀x,y∈X. d(x,y)<δ⇒d(f(x),f(y))<ε~
∀x∈X.∀ε>0.∃δ>0. f(N(x,δ))⊂N(f(x),ε)~
も同値。
-- 連続でない写像で図形を変換すると、片方の空間で収束する...
図形が破れている。
-- 単射でない写像を使うと、異なる二点を同じ点に移すので、...
-- 逆写像が連続でない全単射では、境界の開の部分と閉の部分...
- [[位相空間(Topological Space)>http://ja.wikipedia.org/w...
-- 位相:連続写像や極限を定義するための仕組み。
--- 開集合系:有限積と加算和について閉じた集合族。~
この集合族に属する集合を「開集合」とみなし、開集合の逆像...
--- 閉集合系:有限和と加算積について閉じた集合族。~
開集合系と同様に位相を定める。
--- 近傍系:
--- 閉包作用素:部分集合から部分集合への写像で、空を空に...
-- 位相同型写像:連続な全単射で逆写像も連続なもの。~
「切り取らず」(連続)~
貼り付けず(単射)、変形を許す写像(全射)。
- 距離空間の位相
-- 距離空間&mimetex(X);中の部分集合&mimetex(A);と、~
&mimetex(X);の点&mimetex(x);について、~
&mimetex(x);の任意の近傍が&mimetex(A);と交わり、~
かつ&mimetex(A);に含まれないならば、~
&mimetex(x);は&mimetex(A);の境界の点という。~
&mimetex(A);境界全体を&mimetex(\partial A);と書き、&mimet...
//-- 距離空間X中の部分集合Aの点xについて、~
//Aに含まれるx周りの開球が存在すれば、xはAの内点。~
//存在しなければxはAの外点。~
//Aの外点全体を∂Aと書き、∂AをAの境界と呼ぶ。~
//(多様体の境界とは別物。)
-- 開集合・閉集合の定義、その1
--- 境界と交わりの無い集合が開集合。
--- 境界を含む集合が閉集合。
--- 開集合の補集合は閉集合。~
閉集合の補集合は開集合。~
空集合と空間全体は開かつ閉な集合。~
開でも閉でも無い集合もある。
-- 開集合・閉集合の定義、その2~
距離空間Xの部分集合Aについて
--- Aの任意の点について、その点まわりにAに含まれる開球が...
--- Aの補集合が開集合ならAは閉集合。
--- この二種類の定義は同値だが、後者の方が位相空間に一般...
-- この開集合・閉集合の定義は距離の取り方に依存する。~
例えば離散距離を入れれば任意の部分集合は開かつ閉になる。
- 連続写像
-- 距離空間X,Yと&mimetex(f:X\to Y);について、次の3つは同値
--- fが連続(⇔∀x∈X.∀U∈N(f(x)).∃V∈N(x). s.t. f(V)⊂U)
--- Yの任意の開集合の逆像はXの開集合。~
連続写像は開写像とは限らない。開を開へ移すとは限らない。
--- Yの任意の閉集合の逆像はXの閉集合。
-- 開集合・閉集合を距離の取り方に依存しない形で定義してや...
距離の取り方に依存せずに写像の連続性を定義できる。
-- 「f:X→Yが位相同型写像」⇔「fは全単射で連続な開写像」
- 開集合の公理
-- 距離空間Xの開集合全体をOとすると、Oは以下の開集合の公...
--- φ∈O, X∈O
--- U,V∈O ⇒ U∩V∈O ~
(二つについて言えば再帰的に有限個について言った事になる)~
∀x∈U∩V⇒∃α>0.∃β>0.N(x,α)⊂U∧N(x,β)⊂V⇒N(x,min(α,β))⊂U∩V
--- &mimetex(\{O_i\}_{i\in I}. O_i \in O.); について、&mi...
(Iの濃度については言及していない。任意の濃度でよい)~
∀x∈∪[i∈I]O[i].∃i∈I.x∈O[i]⇒∃ε>0.N(x,ε)⊂O[i]⊂∪[i∈I]O[i]
- 閉集合の公理
-- 距離空間Xの閉集合全体をFとすると、Fは以下の閉集合の公...
--- φ∈F, X∈F
--- U,V∈F ⇒ U∪V∈F
--- {O[i]}_(i∈I). O[i]∈O. について、∩[i∈I]O[i] ∈ O
- 補)集合論から
-- 任意の集合Aについて、その部分集合全体は集合を成すと見...
-- 集合A,Bについて、AからBへの写像全体は集合を成し、B^Aと...
2={0,1}と見ると、冪集合2^AはAから2への写像全体と同型。
- 位相空間~
必ずしも距離の入っていない集合について、開集合の公理を満...
-- 開集合による位相
--- 集合Xについて、開集合の公理を満たすXの部分集合族Tを、...
毎回ペアで書くのは面倒なので、どの位相を入れているか明ら...
Tは一意には定まらない。位相の入れ方は複数考えられる。~
位相には包含関係による順序づけができる。~
開集合系による位相の定義以外にも閉集合系・近傍系・閉包作...
どれが一つで定義すればそこからほかのも定義できる。
--- 位相空間(X,T)について、開集合系に含まれる集合を開集合...
--- 最も弱い位相として密着位相{φ,X},最も強い位相として離...
- 連続写像
-- 位相空間 X,Y 間の写像 f:X→Y について、~
fが連続であるとは、Yの任意の開集合の逆像がXの開集合である...
-- fが開写像であるとは、任意のXの開集合の像がYの開集合で...
- 位相同型写像
-- 位相空間の間の連続で全単射な開写像を位相同型写像・同相...
-- 二つの位相空間の間に位相同型写像が存在するとき、その位...
- 近傍系
-- 位相空間X上の点xについて、xを含む開集合を開近傍。xの開...
-- 「xを内点として含む集合」や「開核がxを含む集合」として...
-- AがXの開集合であることと、A上の任意の点についてAに含ま...
-- AがXの閉集合であることと、A^C上の任意の点についてAと交...
-- 位相空間X,Yについて、f:X→YがX上の点xにおいて連続である...
fがX上の任意の点で連続ならば、fはX全体で連続。
- 距離空間と位相空間
-- 距離空間は距離に伴う通常の開集合系を使って位相を定めら...
特に(R^n,d_2)の位相をEuclid位相と呼ぶ。
- 11/1は休講
- 連結性
-- 開かつ閉な集合が全体と空集合以外になければ連結。
-- 空でない互いに疎な開集合で全空間を分割できるなら不連結。
- コンパクト性
-- ある集合族で集合を覆えるとき、その集合族を被覆という。
-- 被覆に含まれる集合が全部開集合なら開被覆という。
-- 開被覆の要素の数が有限なら有限開被覆という。
-- 要素数を指定しない任意の開被覆から、有限開被覆を選び出...
-- ユークリッド空間については、コンパクトであることと有界...
- 直和分割
-- 全空間を互いに疎な集合族に分割すること。
-- 同値関係で同値類を作ると、同値類全部を集めたものは直和...
同値類による分割を分類と呼び、同値類全体の集合を商集合と...
集合の要素から、その要素が属する同値類への写像を標準全射...
--- 標準全射は全射。同値関係の別表現ともとれる。
- 路,道,弧,パス
-- 位相空間&mimetex(X);と任意の2点&mimetex(p,q \in X);に...
連続写像&mimetex(f:[0,1]\to X);で&mimetex(f(0)=p \wedge f...
- 弧状連結
-- 空間上の任意の2点について、それらを結ぶ路が存在するこ...
-- 弧状連結ならば連結。
- 路の変形,ホモトープ,ホモトピー
-- 位相空間&mimetex(X);上の2点&mimetex(p,q);と~
それらを結ぶ2つの路&mimetex(f,g : [0,1]\to X);について、~
連続写像&mimetex(F:[0,1]\times [0,1] \to X);で、~
&mimetex(F(t,0) = f(t)\wedge F(t,1) = g(t));が存在すると...
fはgに変形できる、と言い、Fはfからgへのホモトピーと呼び、~
fとgは互いにホモトープと言う。~
ホモトープであることは同値関係。~
(空間上の2点を固定して)空間上の曲線をホモトープによる...
- ホモトープによる同値類の数は位相不変量(同相写像によっ...
この商集合は有限集合になるとは限らず、扱いが難しい。~
商集合に適当な演算を定義して群を作り、代数的な構造から元...
- 基本群
-- 位相空間X上に基点pを決めたとき、基本群&mimetex(\pi(X,p...
pを通る連続閉曲線をホモトープによる同値関係で割ったもの。
- レポート、11/22の講義終了時まで。
- 単体~
位相空間上のm単体は、空間上の&mimetex(m+1);点を相互に交わ...
単体の辺は、m単体を構成する点から、任意にm個点を選んで作...
点・線分・三角形・正四面体など、図形を構成するための基本...
- 複体~
有限個の単体の集合&mimetex(K);が複体であるとは、~
&mimetex(K);に含まれる任意の単体の任意の辺が&mimetex(K);...
&mimetex(K);に含まれる任意の2つの単体の共通部分は、空で...
異なる複数の複体が同一の図形を表すこともある。~
図形を単体に分割する方法は一つには決まらない。
- 単体写像~
複体Kから複体Lへの写像で、Kに含まれる単体を~
Lに含まれる単体に移す写像を単体写像と呼ぶ。~
特に全単射な単体写像を単体同型写像と呼び、~
単体同型写像が存在する2つの複体は、単体同型であるという。~
単体同型な複体が表す多面体は、互いに位相同型になる。
- 細分~
多面体として等しい2つの複体&mimetex(K,K');で、~
&mimetex(\forall \Delta' \in K');に対して&mimetex(\Delta'...
&mimetex(K');は&mimetex(K);の細分であるという。
- 組み合わせ同型~
2つの複体に、それぞれの細分に単体同型となるものがあれば~
その2つの単体は組み合わせ同型と呼ばれる。
- 記法~
-- 位相同型、&mimetex(\approx);、位相空間同士に連続で開写...
-- 同値、&mimetex(\sim);、反射律・対称律・推移律を満たす...
-- ホモトープ同値、&mimetex(\simeq);、位相空間上の曲線が...
-- 群の同型、&mimetex(\cong);、群同士に群演算と両立する全...
-- 単体同型、&mimetex(\cong);、複体同士に構造を保つ全単射...
-- 組み合わせ同型、&mimetex(\approx);、複体同士が、単体同...
-- 組み合わせ的にホモトープ、&mimetex(\sim);、折れ線同士...
基本群を定義から直接求めて、同型かどうかを調べるのは難し...
位相空間に複体構造を入れて、折れ線群を定義できると、計算...
- 複体上の折れ線~
複体上の1単体を連ねたものを、複体上の折れ線と呼ぶ。
- 折れ線の積~
複体&mimetex(K);上の2つの折れ線&mimetex(\Gamma = l\{p_{0...
&mimetex(\Gamma' = l\{p'_{0}p'_{1}\cdots p'_{r'}\});で、~
&mimetex(\Gamma);の終点&mimetex(p_r);と&mimetex(\Gamma');...
2つの折れ線に積が定義でき、&mimetex(\Gamma \Gamma' = l\{...
と、折れ線を繋いだものを積とする。
- 折れ線の初等変形~
以下の操作とその逆を折れ線の初等変形という。
-- 同じ点が2つ続いたら、1つを除くこと。~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+1}p_{i+2}...
&mimetex(p_i = p_{i+1});~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+2} \cdots...
-- 同じ点に挟まれた点を除くこと、~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+1}p_{i+2}...
&mimetex(p_{i} = p_{i+2});~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+2} \cdots...
-- 連続する3つの点からなる単体がもとの複体に含まれるとき...
中間の点を除くこと。~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+1}p_{i+2}...
&mimetex(\{p_{i}p_{i+1}p_{i+2} \in K);~
&mimetex(\Gamma = l\{p_{0}p_{1}\cdots p_{i}p_{i+2} \cdots...
- 組み合わせ的にホモトープ、折れ線同値~
始点と終点が一致する二つの折れ線が、初等変形で移り変われ...
その2つの折れ線は組み合わせ的にホモトープという。
- 折れ線群~
複体上に基点を1つ選び、その点を通る閉折れ線を~
組み合わせホモトピーの同値関係で割ったものは~
折れ線の連結について群になり、それを複体上の折れ線群と呼...
複体の折れ線群と、複体が構成する多面体の基本群は群として...
- ホモロジー~
閉曲線による切断に注目する。~
例えばトーラスをループで切断するとき、~
トーラスを二つの部分に分割するループと~
分割しないループがある。~
球面上でなら、どのループで切断しても二つの部分に分かれる。
-- 単体の向き~
多角形として同じ単体が同じ向きであるとは、単体をなす点の...
逆向きであるとは、奇置換で移り変われること。
- 複体の鎖群と境界凖同型~
[[幾何数理工学演習]]のページを参照。
- 凖同型定理~
2つの群の間の凖同型写像&mimetex(f:G \to G');について、~
&mimetex(G / \mathrm{Ker}(f) \simeq \mathrm{Im}(f));
- ホモロジー群
-- 複体&mimetex(K);の&mimetex(m);次元サイクル:&mimetex(Z...
-- 複体&mimetex(K);の&mimetex(m);次元境界サイクル:&mimet...
-- &mimetex(Z);は切断を表す&mimetex(C);の部分群。~
&mimetex(B);は図形を分ける切断を表す&mimetex(C);の部分群。~
&mimetex(Z-B);が図形を分けない切断を表している。~
境界サイクル分の違いを無視して、~
ホモロジー群&mimetex(H_{m}(K) = Z_{m}(K)/B_{m}(K));を作れ...
- ホモローグ~
2つの&mimetex(m);次元サイクル&mimetex(c,c' \in Z_{m}(K))...
&mimetex(c-c' \in B_{m}(K));であること。~
ホモローグは同値関係。ホモローグによる同値類はホモロジー...
- 来週は中間テスト。持ち込み可。折れ線まで。印刷物は50...
- 複体&mimetex(K,K');について、&mimetex(|K|,|K'|);が位相...
そのホモロジー群も同型。
- &mimetex(q);次元ホモロジー群は有限生成な可換群なので、~
&mimetex(\mathbb{Z});と&mimetex(\mathbb{Z}_{m_{i}});の有...
&mimetex(m_{i});は&mimetex(m_{i+1});の約数になっている。~
ここに現れる無限巡回群の個数を、&mimetex(K);の&mimetex(q)...
有限巡回群の列&mimetex(m_{1},m_{2},\cdots,m_{s});を&mimet...
&mimetex(\chi(K)=\sum_{q=0}^{n}(-1)^{q}R_{q}(K));をオイラ...
- オイラー・ポアンカレの定理~
&mimetex(n);次元複体&mimetex(K);に含まれる&mimetex(q);次...
&mimetex(\chi(K)=\sum_{q=0}^{n}(-1)^{q}\beta_{q});が成立。
- テンソル~
スカラー・ベクトル・行列と直交座標・直交変換では、応用上...
テンソルはそれらの一般化。~
量同士の関係を座標変換に対して不変な形で書くための道具。
- 線型空間とその双対空間~
線型空間上の連続な線型関数&mimetex(\phi:V\to \mathbb{R});...
&mimetex(V);の線型汎関数という。~
和とスカラー倍を関数値の和とスカラー倍で定義すれば、~
線型汎関数全体は線型空間になっている。~
&mimetex(V);上の線型汎関数のつくる線型空間を&mimetex(V);...
&mimetex(V^{*});の双対空間&mimetex(V^{**});は(有限次元な...
もとのベクトル空間の基底は下付き添字を使って&mimetex(\{e_...
その双対基底&mimetex(\{e^{i}\});、&mimetex(e^{i}(e_{j})=\...
- 反変ベクトルと共変ベクトル~
ベクトル空間&mimetex(V);での2つの基底&mimetex(\{e_{i}\})...
ベクトルの成分の変換は、&mimetex(v=v^{i}e_{i}=\tilde{v}^{...
&mimetex(\tilde{e}_{i} = A_{i}^{j}e_{j});~
&mimetex(\tilde{v}^{i} = (A^{-1})^{i}_{j}v^{j});となる。~
この変換のされ方をする2つの量は、互いに反変的であるとい...
基底に対して反変的なベクトルを反変ベクトル(contravariant ...
対して、双対空間のベクトルの基底と成分は、~
&mimetex(\tilde{e}_{i} = A_{i}^{j}e_{j});~
&mimetex(\tilde{e}^{i} = (A^{-1})^{i}_{j}e^{j}\);~
&mimetex(\tilde{\omega}_{i} = A_{i}^{j}\omega_{j});~
この変換のされ方をする2つの量は、互いに共変的であるとい...
もとの線形空間の基底に対して共変的なベクトルを共変ベクト...
- 例
-- 座標の微分は反変ベクトル。アフィン空間なら座標の差は反...
-- スカラー関数のgradは共変ベクトル。アフィン空間なら共変...
-- 共変p階,反変q階のテンソルの外微分は共変(p+1)階,反変q階...
- 高階の共変テンソル~
&mimetex(V);上の多重線形な連続汎関数&mimetex(V^{p}\to \ma...
&mimetex(\bigotimes^{p}V^*);と書く。
- 共変テンソルの演算~
&mimetex(A\in\bigotimes^{p}V^*);の元と&mimetex(B\in\bigot...
&mimetex((A\otimes B)(v_1,\cdots,v_p,v_{p+1},\cdots,v_{p+...
テンソル積は結合的で線形。~
&mimetex(p);階の共変テンソルは反変基底に対する作用で特徴...
&mimetex(p);個の添字を持つ成分数&mimetex(n^{p});個の量の...
&mimetex(p);階共変テンソルの基底は双対基底の&mimetex(p);...
- 共変テンソルの座標変換~
基底空間の座標変換に対して共変テンソルは、各添字について...
- 高階の反変テンソル
&mimetex(V^*);上の多重線形な連続汎関数&mimetex((V^{*})^q ...
&mimetex(\bigotimes^{q}V);と書く。~
反変テンソルについても共変テンソルと同じようにいろいろ定...
- 混合テンソル~
&mimetex(V^{p}\times (V^*)^{q} \to \mathbb{R});
- 対称テンソル・交代(反対称)テンソル~
対称性・交代性は座標変換に依らない性質。
-- 高階テンソルの共変添字の組、反変添字の組について、~
添字の任意の置換についてテンソル全体が不変であるとき、~
そのテンソルはその添字の組について対称であるという。~
テンソルを多重線形汎関数と見るなら、~
特定の引数の組の置換についての不変性を指す。
-- 同様に、添字の組の任意の奇置換について符号が入れ替わる...
そのテンソルはその添字の組について交代であるという。
- 対称化作用素~
&mimetex(\mathrm{Sym}(T) = \frac{1}{p!}\sum_{\sigma \in S...
&mimetex(\sigma \mathrm{Sym}(T) = \mathrm{Sym}(T));
- 交代化作用素~
&mimetex(\mathrm{Alt}(T) = \frac{1}{p!}\sum_{\sigma \in S...
&mimetex(\sigma \mathrm{Alt}(T) = \mathrm{sgn}(\sigma)\ma...
- 計量~
内積を与える2階の対称共変テンソル。~
&mimetex(g:V\times V \to R);~
正値対称双線形な連続関数。~
反変ベクトル&mimetex(u,v);について、その内積を&mimetex(<u...
基底を定めれば、&mimetex(g_{\mu\nu}u^{\mu}v^{\nu});
-- ベクトルの長さ~
&mimetex(\|v\|=\sqrt{<v,v>});
-- ベクトルのなす角度~
&mimetex(u \neq 0,\ v\neq 0);のなす角度は&mimetex(cos\the...
&mimetex(<u,v>=0);なら直交するという。
-- 計量の入った線型空間を計量線型空間、Euclid空間と呼ぶ。~
計量の無い空間では、長さや角度は定義できない。~
平行・向きは定義できる。
- 直交座標系~
正値対称な2階の共変テンソルは対角化可能。~
底空間に適切な座標変換をすると、計量テンソルは(局所的に...
- 内積と双対空間~
ベクトル空間に内積が与えられると、&mimetex(V);と&mimetex(...
(座標系に依らない)標準的な変換が存在する。~
&mimetex(v_{\mu} = g_{\mu\nu}v^{\nu});~
&mimetex(v^{\mu} = g^{\mu\nu}v_{\nu});~
- 交代テンソル
-- p階の交代共変テンソルの全体を&mimetex(\wedge^p V^*);と...
&mimetex(\wedge^p V^*);は&mimetex(\otimes^p V^*);の部分空...
交代テンソルはテンソル積については閉じていない。外積につ...
p階の交代共変テンソルはp形式と呼ばれる。
- 交代共変テンソルの外積~
p形式Sとq形式Tに対して、&mimetex(S\wedge T = \frac{(p+q)!...
p形式とq形式の外積は(p+q)形式。~
ベクトルの外積とは異なる。3次元空間でのベクトルの外積は、...
p形式&mimetex(w=\wedge^{p}_{k=1}w_{k});とp個の反変ベクト...
&mimetex(w(v_{1},v_{2},\cdots,v_{p}) = \det (w_{i}(v_{j})...
- 交代共変テンソルの基底・次元
-- &mimetex(V^*);の基底&mimetex(\{e^{k}\});を使って、~
&mimetex(\wedge^{p}V^*);の基底は&mimetex(e^{k_{1}}\wedge ...
&mimetex(\wedge^{p}V^*);の次元は&mimetex(_{n}C_{p});
- 線形空間の向き~
線形空間の順序づけられた基底2組について、~
基底の取り替え行列の行列式が正ならば、その基底は同じ向き...
同じ向きであることは、同値関係になっていて、同値類は2つあ...
片方の同値類に属する基底の組を正の向き、もう片方を負の向...
- テンソル密度と擬テンソル~
座標変換に対して、変換行列の行列式がかかったり、~
向きの変わる座標変換に対して符号が変わるテンソルのような...
-- Eddingtonの&mimetex(\varepsilon);(Levi-Civitaの記号)~
&mimetex(\varepsilon_{123}=1);となる交代な&mimetex(n^3);...
テンソルの交代性は座標系に依らない性質で、3次元の空間では...
ある座標系で&mimetex(\varepsilon_{123}=1);となる交代共変...
別な座標系で&mimetex(\tilde{\varepsilon}_{123}=1);となる...
比例係数を計算してみると、&mimetex(\det \left( \frac{\par...
この&mimetex(\varepsilon);と&mimetex(\tilde{\varepsilon})...
テンソルの変換規則には従わず、変換行列の行列式がかかる。~
このような量の組を擬テンソル(軸性テンソル)という。~
これに対して普通のテンソルを極性テンソルともいう。
-- 一般に座標変換に対して、通常のテンソルの変換則の他に~
変換行列の行列式の絶対値の&mimetex(-w);乗がかかる形で変換...
重み&mimetex(w);のテンソル密度。~
変換行列の行列式の符号がかかる形で変換される量を擬テンソ...
両方かかかるものは擬テンソル密度。
- 計量のある空間での共変と反変の対応関係~
テンソルの階数と擬か否か、重みが同じで、添字の上下だけが...
計量による添字の上げ下げで移りあえ、同一視することができ...
- 試験は2/14、3時間、持ち込みなし。~
ホモロジーとテンソルのあたり。~
ホモロジーの計算は出すらしい。
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